パワー半導体・パワーデバイスとは:特徴・種類・応用例
パワー半導体とは?
(サンケン電気の資料を基に筆者作成)
パワー半導体は「大電力の変換を行う半導体」です。数10ボルト以上の高い電力を扱います。
発電所で作られた数十万Vの電気は、送電・変圧を経て100V電源として家庭に届けられています。しかし100Vでは電化製品は動作しません。
テレビやエアコンにはマイコンなどの電子部品が納められており、これらは3-5Vで動作します。最新のスマホ急速充電器でも9V程度です。
電化製品が動作するためには、100V電源の電圧を3V~9Vに変換する必要があり、この変換に使われる半導体が「パワー半導体」です。
パワー半導体の役割
パワー半導体には4つの役割があります。
- 整流(コンバータ):交流を直流に変換する
- インバータ:直流を交流に変換する
- レギュレーター:電圧を変換する
- 周波数変換:交流の周波数を変換する
パワー半導体では4つの働きのうち1つを利用し、電力変換を行い電化製品などに電力を供給しています。
なお、パワー半導体1つで4つの性能をすべて発揮するわけではありません。コンバータやインバーターなどそれぞれの役割に必要なデバイス構造・回路を構成することで、機能が発現します。
パワー半導体の種類
一口にパワー半導体と言っても、用途によって複数の種類があります。
パワー半導体デバイスは大きく3つに分類されます。
- ダイオード
- サイリスタ
- トランジスタ
電気を一方向にしか流さない整流作用を利用するデバイス。交流を直流に変換する際に使われる。
スイッチング機能をもつパワーデバイス。大電力領域での利用を得意とする。
スイッチング機能をもつパワーデバイス。高耐圧でのスイッチングや増幅を行う。
さらに、トランジスタは以下の3つに細分化されます。
- バイポーラトランジスタ
- MOSFET
- IGBT
パワー半導体の応用
パワー半導体は身の回りの様々なモノに使用されています。
電気自動車
電気自動車は外部電源からバッテリーに電気を充電し、モーターで動作します。
外部電源からの充電や、モーター駆動にパワー半導体が使用されます。
スマホ
スマホのデータや音声を基地局まで飛ばせるよう、送信送信電力を増幅し送り出す必要があります。
信号の増幅にパワー半導体が使用されます。
太陽光発電
太陽光発電で発電された電力は直流です。
家庭で電化製品を使うには交流に変換する必要があり、パワー半導体(コンバーター)が使用されます。
この他にも、電車・エアコン・冷蔵庫など、大電力やモーターを扱う機器には必ずパワー半導体が搭載されており、私たちの生活になくてはならないデバイスと言えます。