信越化学工業の企業研究:売上・年収・特徴

会社概要

信越化学工業 企業解説

信越化学工業は、塩化ビニル樹脂・シリコンウェーハ・シリコーンなど、様々な化学原料・材料を製造する日本の大手化学メーカーです。1926年に設立された歴史ある企業で、売上高2兆8088億円(2023年)、従業員数は2.5万人を超える大企業です。

多くの製品で世界シェア1位を獲得しており、日本を代表する高シェア・高収益企業です。

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エンジニア

沿革

信越化学工業 企業解説

信越化学工業は、1926年に信越窒素肥料株式会社として発足し、当時は石灰窒素肥料を製造していました。

その後、

  • 信越ポリマー:塩ビ・シリコーンの生産
  • 信越半導体:シリコンウエハーの生産
  • シンテック:アメリカでの塩ビの生産
  • シンエツハンドウタアメリカ:アメリカでのSiウエハー生産
  • シンテック:アメリカでのエチレン生産

など、様々なグループ会社の設立・事業投資を行い、現在では様々な素材・化成品を世界中で生産する超巨大化学メーカーとなりました。

主要事業

信越化学工業 企業解説

信越化学工業の製品は極めて多岐にわたります。代表的な製品としては以下の通りです。

  • 塩化ビニル樹脂
  • シリコンウエハー
  • シリコーン
  • レアアースマグネット
  • セルロース誘導体

また、半導体関連製品も数多く供給しています、具体的には以下の通りです。

  • シリコンウエハー
  • フォトレジスト
  • フォトマスクブランクス
  • ウエハーケース

半導体産業における重要材料の数多くを製造しています。特にシリコンウエハーやフォトレジストにおいては世界トップクラスのシェアを有し、半導体のサプライチェーンになくてはならない化学企業と言えます。

主要製品➀:塩化ビニル樹脂

信越化学工業 企業解説

信越化学の主要事業の1つが塩化ビニル樹脂(PVC)の生産です。塩ビは塩(NaCl)とエチレン(C2H4、石油由来)を原料としていますが、原料の約6割が豊富な資源である「塩」のため、石油資源の依存性が低い材料です。

塩ビの主な用途は塩ビパイプや建材です。塩ビパイプは配管に使用され、耐用年数は50年と他のプラスチック製品と比較して長く、地球環境への負荷が小さい材料と言えます。

信越化学工業 企業解説

信越化学は世界最大の塩ビ生産能力を有し、世界シェア1位です。

加えて、信越化学の100%子会社であるアメリカのシンテック社は、塩ビ原料であるエチレンおよび岩塩を自社生産しており、塩ビの一貫生産体制を構築しています。これにより、塩ビの「安定供給とコスト競争力」を確保しており、汎用樹脂でありながら高収益を達成しています。

信越化学工業 企業解説

塩ビ市場は10年で1.38倍に市場が拡大しています(2011-2021年)。市場は今後も堅調に成長していくことが予想され、高シェアを誇る信越化学の塩ビ事業も売上拡大が期待されます。

信越化学工業 企業解説

シンテック社の塩ビ生産能力は1974年以来、約35倍に拡大し、2023年度には362万トンに達する見込みです。信越化学の塩ビ事業、塩ビ需要の拡大を的確に捉えており、今後の需要増にも対応できる体制を整えていくと予想されます。

主要製品➁:シリコンウエハー

信越化学工業 企業解説

シリコンウエハーも信越化学の主要製品です。シリコンウエハーは単結晶シリコンを薄い円盤状にした製品で、半導体製品の材料に使われます。

世の中の電子機器のほとんどに半導体が使用されており、シリコンウエハーは極めて重要な材料と言えます。今後も、AI・IoT・5Gの普及に伴い、Siウエハー市場は成長していくと期待されます。

シリコンウエハーの世界シェア

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(経済産業省:半導体・デジタル産業戦略、各社のIR資料を基にSemi-journal作成。上記5社でシェア100%と仮定。)

信越化学のシリコンウエハーは世界シェア第1位です。2位はSUMCOであり、日本企業で50%以上のシェアを有する業界です。

半導体材料市場は日本が強い業界であり、また、Siウェーハ製造は金額・技術力の面で参入障壁が高いため、信越化学が急激にシェアを落とす可能性は高くないと予想されます。

シリコンウエハー市場の成長性

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シリコンウエハー市場は、年平均6.8%の成長市場です(1990-2022)。今後も、世界の半導体需要の伸びに呼応して、シリコンウエハー市場は拡大していくと予想され、高シェアを有する信越半導体のシリコンウエハーの売り上げも拡大していくと予想されます。

主要製品➂:シリコーン

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信越化学の主要製品の1つが「シリコーン」です。シリコーンはケイ素と酸素からなるシロキサン結合を骨格とした合成高分子でパウダー・ゴム・液状ゴム・オイルなど、様々な形態の製品が作成可能です。

シリコーンの用途例は以下の通りです。

  • 化粧品
  • シリコーンオイルの粘性・ツヤを利用し、乳液やクリーム、トリートメントに配合

  • 電気自動車
  • シリコーンゴムの絶縁性を利用し、車載向け高圧ケーブルの被覆材に使用

  • コンタクトレンズ
  • ハイドロゲルの状態で、コンタクトレンズに使用

この他にも、食品や建築材料など、幅広い分野で使用されています。

業績

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信越化学の売上高は2兆8088億円(2023年)と、過去最高益を達成しています。また、売上高成長率は18.2%(5年平均)と極めて高い成長率で推移しており、今後も業績の拡大が大いに期待できる企業です。

本業で稼ぐ力を示す営業利益も、9982億円(2023年)と過去最高です。営業利益率は35.5%と日本の製造業でトップクラスの超高収益企業です。

信越化学の強み➀:高シェア製品群

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信越化学の最大の強みは「高シェア製品群」です。扱う製品の多くで高世界シェアを有しています。

高シェアの利点としては、大量生産によるコスト削減効果や、市場シェア1位であることで価格決定権を発揮しやすい事などが挙げられます。すなわち、高シェアであることが高収益につながっています。

信越化学の強み➁:収益力と財務基盤

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信越化学の2つ目の強みとして「収益力と強固な財務基盤」が挙げられます。信越化学は売上高営業利益率が35.5%と、売り上げの多くを利益として残しており、極めて高い収益性を有することが分かります。

また、ROIC(Return On Invested Capital、調達資金を基にどれだけ効率的に利益を上げたか)は33.6%と極めて高い水準です。化学業界(上場企業のみ)のROIC平均値は6.4%(2022年)であり、信越化学がいかに効率的に利益を上げているかが分かります。

ROE(Return On Equity、株主の出資金を基にどれだけ効率的に利益を上げたか)も19.7%と、化学業界平均値7.4%(2022年)と比べて極めて高く、稼ぐ力が極めて高い企業であると言えます。

さらには、純資産は4超262億円、自己資本比率は81.8%と返済不要の資本比率が極めて高く、非常に強固な財務基盤を築いており、極めて安定性の高い企業です。

信越化学の強み➂:三位一体のモノづくり

信越化学工業 企業解説

信越化学の3つ目の強みとして「三位一体のモノづくり」が挙げられます。これは、「営業・開発・製造」が密接に連携することを意味します。

信越化学の研究開発拠点はすべて工場と同一敷地内に存在しています。営業が吸い上げた顧客のニーズに対し、開発と製造が密接に連携し、実践的かつ迅速に開発を行うことが可能です。

三位一体のモノづくりにより、顧客のニーズを素早く満たすことが、シェアを高める1つの要因になっていると考えられます。

信越化学の強み➃:成長性

信越化学工業 企業解説

信越化学の売上高・営業利益は右肩上がりです。今後需要増が期待できる、シリコンウエハーやフォトレジスト、塩ビ、シリコーンなど数多くの製品で高シェア率を有するため、今後も売上高は成長していくことが期待出来ます。

もちろん、短期的な業績の上振れ・下振れはありますが、長期的目線で見れば売上高は堅調に推移すると予想されます。

年収

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信越化学の年収は「877万円」と極めて高年収です。

これは「化学業界全214社中3位」であり、堂々の高年収企業です(上場企業のみ、2022年)。また、全上場企業3736社中269位の年収です。

売上高ほどではありませんが、年収も毎年増加しており、今後の年収アップにも期待が持てる企業です。

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