なぜ半導体で計算(演算)できるのか:コンピューターのしくみ

半導体を用いるとなぜ計算できるのか

パソコンやスマートフォン、デジタルカメラなど、私たちの身の回りにあるあらゆるデジタル機器には「半導体」が使用されています。

半導体が使われているデジタル機器の一例

例えば、Excelで複雑な数式を処理したり、スマホでリアルタイムに3Dゲームを動かしたりできるのは、内部にあるCPU(中央演算処理装置)が猛烈なスピードで「計算」を行っているからです。

しかし、単なる物質であるはずの半導体が、なぜ数学的な「計算」を行うことができるのでしょうか? その鍵は、半導体が持つ独自の性質と「2進法」の組み合わせにあります。

半導体とは:計算の「スイッチ」になれる理由

まず、半導体の物理的な性質をおさらいしましょう。

導体・半導体・絶縁体の抵抗率

半導体は、電気を良く通す「導体(金属など)」と、電気を通さない「絶縁体(ゴムなど)」の中間的な抵抗率を持つ物質です。

この「中途半端な性質」こそが重要です。導体は常に電気を流し、絶縁体は常に止めますが、半導体は外部からの条件(電圧など)によって「電気を流したり、止めたり」を自在にコントロールできるのです。

この「流す・止める」という切り替え(スイッチング作用)ができるからこそ、半導体はデジタルデータを扱うための唯一無二の素材となります。

半導体とは:現代社会を支える素材

2進数:すべての情報を「0と1」に置き換える

半導体が「計算」を行うために、コンピューターの世界ではすべての情報を「0」と「1」だけで表現する「2進法」を採用しています。

デジタルデータの例:画像データと文字データ
  • 文字データ:例えば「A」は「01000001」という8桁の数値として扱われます。
  • 画像データ:色や明るさの情報も、すべて細かな0と1の羅列で構成されています。

このように、数値だけでなく文字も映像もすべてを「0と1」に置き換えることで、電気信号による処理が可能になります。

トランジスタによる計算:電流のON/OFFが知能に変わる

半導体を使って作られる最も重要な素子が、電流のスイッチ役を担う「トランジスタ」です。

トランジスタのスイッチング作用

スイッチとしてのトランジスタ

トランジスタは、小さな電気信号によって大きな電流の通り道を「開けたり閉めたり」する電気の蛇口のようなものです。この動作によって、物理的な電気の流れをデジタルな数値に対応させます。

  • ON(電流が流れる)=「1」
  • OFF(電流が流れない)=「0」

回路の組み合わせが生む「論理演算」

ここからが「計算」の核心です。1つでは単なるスイッチに過ぎないトランジスタも、複数組み合わせることで「特定の条件のときだけ電気を通す」という高度な判断ができるようになります。

例えば、2つのトランジスタを直列につないだ回路(AND回路)を考えてみましょう。

トランジスタの組み合わせによるAND回路

この構成では、スイッチAとBの両方が「ON(1)」になったときだけ、電流(1)が出力されます。それ以外の組み合わせ(0・0、1・0、0・1)では出力は「0」になります。

「判断」が「計算」に変わる瞬間

実は、このAND回路の働きは「2進数の足し算における繰り上がり」の計算そのものです。

2進数の足し算における繰上り

1+1の計算をしたとき、2進数では「10」となり、2桁目に1が繰り上がります。「両方が1のときだけ、次の桁を1にする」というAND回路のルールは、まさに数学的な演算を物理的な回路で再現しているのです。

このような「論理ゲート」と呼ばれる回路を数億、数十億個と組み合わせることで、コンピューターは驚異的なスピードで複雑な情報処理を実現しています。

本記事では概要を解説しましたが、続く記事では「なぜこのスイッチの組み合わせだけで、複雑な足し算ができるのか」を、より詳細な図解とともに深掘りしていきます。

Semi-journalの企業スポンサー制度

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です