限外ろ過膜(UF膜)とは:超純水製造の最終工程
イオン交換樹脂(IER)によって残留イオンがpptレベルまで除去された水は、いよいよ超純水製造の最終工程を迎えます。ユースポイント(半導体製造の現場)に届く直前、最後の関門が限外ろ過膜(UF膜)です。
限外ろ過膜(UF膜)とは:超純水製造の最後の砦
UF膜(Ultrafiltration Membrane)は、孔径数nm〜数十nmの膜でナノ微粒子・細菌・コロイドを物理的に除去し、超純水の微粒子管理値(50 nm以上で1個/mL以下)を担保する膜です。
非常に微細な孔により、半導体製造に使用する前の、最後の濾過膜として機能します。
前処理からここまで解説してきた前処理・一次純水システム・二次純水システムの記事は、以下からご覧いただけます。
UF膜の原理:微細孔による分離
不純物を取り除く原理は、RO膜とUF膜とで対照的です。
- RO膜
- UF膜
孔の大きさで機械的にふるい分けているわけではなく、緻密な膜に水やイオンが一度溶け込んでから拡散して抜け出る「溶解拡散」という仕組みで分離
孔径数nm〜数十nmの「微細孔(孔)」を持ち、孔よりも大きい粒子を物理的に阻止する「ふるい分け」の原理で分離
これまでの工程(RO膜・EDI・UV照射・IER)が、主にイオンや溶存有機物といった溶けている不純物を対象としていたのに対し、UF膜が対象とするのはナノ微粒子・細菌・コロイドといった「分散している不純物」です。
超純水製造プロセスの最後に、対象とする不純物の種類が再び切り替わる、という点が特徴的です。
なぜナノメートル単位の微粒子管理が必要か
超純水の微粒子管理値は、例えば「50nm以上の粒子が1mLあたり1個以下」といった、極めて厳しい基準で管理されています。
半導体の配線幅はナノメートル単位まで微細化が進んでおり、洗浄などに使う超純水にわずかでも微粒子が残っていると、そのままウェハ表面に付着して回路の断線やショートといった致命的な欠陥の原因になります。
UF膜は、こうしたナノメートル単位の微粒子を最終段階で確実に除去し、半導体の歩留まりを守る役割を担っています。
UF膜の構造:中空糸膜による物理ろ過
UF膜には、脱気膜と同様に中空糸膜(ストロー状の細かい膜)の構造が使われています。
ただし脱気膜が気体と液体を分離する「気液分離」の原理であったのに対し、UF膜はあくまで孔径による「物理ろ過」であり、両者は構造の形状こそ似ていますが、不純物を取り除く原理は全く異なります。
原水を中空糸の内側または外側に流し、孔径より小さい水分子とイオンだけを膜の反対側へ透過させることで、ナノ微粒子・細菌・コロイドを物理的に阻止します。
デッドレグ対策:使われなかった水はどうなるか
二次純水システムを通過した水が半導体製造に必要な「超純水」です。
ただし、ユースポイントで使われなかった水をそのまま配管内に留めておくと、たとえ超純水であっても滞留した部分から微生物が繁殖したり、配管内に付着していた微粒子が再び水中に放出されたりするリスクが生じます。
そのため、ユースポイントで使われなかった水は、純度を維持するため一瞬も滞留させずにタンクへ循環させます。これを「デッドレグ対策」と呼びます。
配管のどこにも水が滞留する「行き止まり(デッドレグ)」を作らないよう配管設計そのものを工夫することに加え、常時循環させる運用によって、ユースポイント直前まで超純水の品質を維持し続けています。
まとめ:UF膜の役割一覧、そして超純水の完成
前処理での粗大粒子・塩素の除去から始まり、一次純水システムでイオン・溶存ガスの大部分を、二次純水システムで微量有機物・残留イオンを取り除いてきた水は、UF膜によるナノ微粒子の最終除去を経て、ようやく半導体製造に使える「超純水」として完成します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | ナノ微粒子・細菌・コロイドの最終除去 |
| 原理 | 孔径数nm〜数十nmによる物理的なふるい分け |
| 構造 | 中空糸膜(気液分離ではなく物理ろ過) |
| 品質基準 | 微粒子管理値:50 nm以上で1個/mL以下 |
| 運用上の特徴 | デッドレグ対策(未使用水を滞留させず循環) |
| 工程上の位置づけ | 二次純水システムの最終工程(超純水の完成) |
※ 設備・原水水質・膜の種類によって性能は異なります
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