JSRの企業研究:売上・年収・特徴

会社概要

jsr 企業研究

JSRは1957年に設立された「半導体・ディスプレイ材料、バイオ材料、合成樹脂の製造を行う化学メーカー」です。

フォトレジストの世界シェア第1位(26%,2021年)と、半導体材料に強みを持ちます。売上高は4089億円・営業利益率7.2%(2023年)と、化学メーカーの中でも屈指の高収益企業です。

JSRの求人情報

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沿革

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JSRは1957年、合成ゴムの国産化を目指した国策会社である「日本合成ゴム株式会社」を前身としています。当時の出資比率は政府40%・民間企業60%であり、1960年に合成ゴムの生産を開始しています。

1969年に完全民営化となり、合成ゴムだけでなく事業の多角化を開始し、1979年にフォトレジストの販売を開始しました。

1997年に社名をJSR株式会社に変更しています。なお、JSRは日本合成ゴムの英語名であるJapan Synthetic Rubberの頭文字に由来します。

2000年には次世代ArF用レジストの開発に成功し、世界に先駆けて市場参入を果たしています。

2010年代には抗体医薬品の精製に使用されるバイオプロセス材料や、診断試薬材料を販売する「ライフサイエンス分野」に注力しています。JSRは「半導体・ライフサイエンス分野」を軸として成長を続ける化学メーカー」と言えます。

主要事業

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JSRの主要事業は大きく3つに分類されます。

  1. デジタルソリューション事業
  2. 製品例) フォトレジスト、塗布用ハードマスク、CMPスラリー、CMP洗浄剤、LCD用配向膜 など

    半導体製造工程、フラットパネルディスプレイ(FPD)製造に用いる材料を製造・販売する事業。フォトレジストなど、世界トップシェアの製品を多数有する。2021年度の実績では売り上げの約50%を占めており、JSRの売り上げをけん引する事業。

  3. ライフサイエンス事業
  4. 製品例) バイオ医薬品/医薬品の開発・製造受託、磁性粒子、診断試薬用のラテックス粒子 など

    バイオ医薬の創薬から製造まで一貫してサポートする「創薬支援サービス」を展開。また、JSRが開発した診断薬材料や抗体医薬品精製用担体など、高分子技術を応用した材料の開発・製造・販売を行う。2021年度の実績では売り上げの約20%を占める。

  5. 合成樹脂事業
  6. 製品例) ABS樹脂、AES樹脂、AS樹脂、ASA樹脂などの合成樹脂

    ABSの高い実用耐性・耐衝撃性・加工性・対候性を生かし、自動車部品や電気器具、建材部品を製造・販売している。2021年度の実績では売り上げの約25%を占める。

JSRは複数分野の事業領域を有しており、半導体業界の景気に大きく影響されにくい、安定感の高い事業体であると言えるでしょう。

デジタルソリューション事業

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デジタルソリューション事業は半導体材料をメインとした事業です。JSRでは半導体市場成長を上回る事業成長率が期待できるとしています。具体的な材料例は以下の通りです。

  1. リソグラフィ材料
  2. 製品例) フォトレジスト(g線、i線、KrF、ArF、EUV(化学増幅型、メタルオキサイド))、液浸リソグラフィ用トップコート材料、塗布型ハードマスク(有機、無機)

    半導体製造工程のフォトリソグラフィー工程において、シリコン基板に微細回路を刻む際に必要なマスク。半導体の微細化・高性能化・小型化に貢献する。

  3. CMP・プロセス材料
  4. 製品例) CMPスラリー、CMP洗浄剤、機能性洗浄剤

    配線層や絶縁層などの薄膜を平坦にするCMP工程で使用するスラリー(液体中に砥粒が混合されている)や、半導体製造工程でウエハー上に残留物・汚染を除去するための洗浄剤を提供し、多層配線形成に貢献する。

  5. 先端実装材料
  6. 製品例) バンプ・再配線メッキ用圧膜フォトレジスト、感光性絶縁膜、5G向け高速通信用低伝送損失材料

    高密度化・三次元化が進む半導体実装工程において、配線層形成や基板への接続に使用される。デバイスの高性能化・高信頼性に寄与する。

  7. LCD材料
  8. 製品例) 配向膜、有機絶縁膜、著色レジスト、保護膜、感光性スペーサー

    液晶パネル(LCD)を構成する多数の膜や高機能材料として用いられ、高画質化・低消費電力化といったニーズに寄与。

デジタルソリューション事業は今後の半導体市場の成長を的確に捉えるため、ArFレジスト、EUVレジスト、洗浄剤やCMP材料に注力するとしています。

デジタルソリューション事業の成長性

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JSRのデジタルソリューション事業は、半導体市場を根幹から支える半導体材料の製造・販売に取り組んでいます。SEMIの予想によると、半導体市場は2030年に100兆円の巨大市場に成長すると見込まれており、市場成長に合わせた事業成長が期待できます。

JSRの半導体材料グローバル戦略

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JSは四日市、アメリカ、ベルギーの研究開発・製造・販売拠点を中心とした、グローバルな供給体制を構築しており、世界各国の顧客が求める製品の安定供給に努めています。

また、2021年10月にはEUVリソグラフィーで注目されている「メタルオキサイドレジスト」の設計・開発・製造で世界をリードするInpriaを買収しました。Inpria買収によるシナジー効果により、今後もレジストのシェアを維持することが期待出来ます。

半導体材料の売上計画

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JSRの半導体材料事業は年平均成長率+16%で成長しています(2020-2022年)。今後も、半導体材料需要の高まりと共に、増収・増益も期待できます。

業績

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JSRの売上高は4089億円(2023年)、売上高成長率は-4.7%(5年平均)で推移しています。

本業で稼ぐ力を示す営業利益は294億円(2023年)、営業利益率は7.2%と、化学メーカーの中でも高収益企業と言えるでしょう。

JSRの年収

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JSRの年収は829万円(2023年)です。2022年度の比較では、化学業界214社中41位、全上場企業3736社中642位と高年収企業と言えるでしょう。

政府系ファンドによるJSR買収

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政府系ファンドの産業革新投資機構(JIC)は、約1兆円でJSRを買収すると発表しました。2023年6月にJSRの取締役会で承認済であり、今後、国内外の規制当局の承認を得ることが出来れば、2024年中には上場廃止となる見込みです。

JSRが考えるJICCによる買収の意義・目的

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JSRはJICC(産業革新投資機構(JIC)の傘下であるJICキャピタル)の買収意義を以下の様に考えています。

  1. 半導体材料領域による業界再編へのコミットメント
  2. 政府系ファンド傘下という中立的な立場を表明することで、業界再編への意思を明確に示す。中立的立場により、再編パートナー候補との協議を進める。

  3. ライフサイエンス事業の方向性合致
  4. ライフサイエンス事業など、JSRの成長戦略・アクションプランへの支援による、JSRの事業拡大が期待。

  5. 政府系ファンドとの戦略系パートナーシップ
  6. 短期的な収益に囚われない、政府系ファンドの大規模・中長期的・中立的な支援による中長期的な支援と業績拡大を期待。

  7. 事業再編および成長戦略のノウハウ
  8. JICCの半導体分野における豊富な投資実績、成長戦略構成力によるJSRの成長を期待。

  9. JICCが持つネットワークの活用による更なる組織力強化
  10. 国内外の機関投資家・民間事業者とのネットワークを活用し、人材採用を含むグローバルでの成長戦略の立案・実行を期待。

政府系ファンドによる買収により、中長期的目線でのJSRの更なる成長が期待されます。

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