砂ろ過とは:超純水製造における粗大粒子ろ過とバックウォッシュ
半導体製造ラインで使われる超純水は、複数の処理工程を経て段階的に不純物を除去していきます。
その中でも「砂ろ過」は、原水が最初に通過する処理工程です。ここでの除去が不十分だと、後段の活性炭やRO膜がすぐに目詰まりし、装置寿命やコストに直結します。
砂ろ過とは
砂ろ過とは「砂の層に原水を通すことで、泥・砂・コロイド粒子など、目に見えるサイズの濁り成分を物理的に除去する手法」です。
砂ろ過は、超純水製造プロセス全体における「一番最初のフィルター」としての役割を担います。
砂ろ過で除去できるもの・できないもの
砂ろ過は万能ではなく、対応できる不純物のサイズには限界があります。
| 区分 | 対象物質 | 目安サイズ |
|---|---|---|
| 除去できる | 濁り・泥・砂・コロイド粒子 | 数μm〜数十μm程度 |
| 除去できない | イオン・溶存塩類・塩素・溶存有機物 | 分子・イオンレベル |
※ 原水水質・ろ材構成によって実際の除去性能は異なります
砂ろ過はあくまで「粗大粒子の物理的除去」を担う工程です
イオンや溶存物質の除去は後段のRO膜・EDIなどが担当します。
砂ろ過装置の構造
砂ろ過装置は、粒径の異なる複数のろ材を層状に積み重ねた「多層ろ過(マルチメディアフィルター)」が一般的な構成です。上層に粗い粒子(アンスラサイトなど)、下層に細かい砂を配置することで、大きなゴミから小さなゴミまで段階的に捕捉します。
原水は上から下へ流れ、各層を通過するたびに濁り成分がろ材に捕捉されていきます。半導体プラントでは、安定した水質を保つために圧力式のクローズドタンクが採用されることが多く、加圧状態で連続運転できる点がメリットです。
逆洗(バックウォッシュ)
砂ろ過は使用を続けるとろ材にゴミが蓄積し、次第に目詰まりしていきます。これを解消するために行うのが「逆洗(バックウォッシュ)」です。
逆洗(バックウォッシュ、backwash)とは「ろ過時とは逆方向に水を流し、ろ材に捕捉されたゴミを洗い流す工程」です。
逆洗のタイミングは、一般的に「入口と出口の差圧が一定値を超えたとき」または「運転時間が一定値に達したとき」を基準に自動制御されます。
半導体プラントでは、24時間安定した水質・水量が求められるため、複数系列のろ過装置を用意し、1系列が逆洗中でも他の系列で処理を継続できるようにする設計が一般的です。
半導体プラントにおける砂ろ過の重要性:SDI値との関係
半導体用超純水製造において、砂ろ過の性能を評価する指標としてよく使われるのが「SDI(Silt Density Index:汚染密度指数)」です。
SDI値は、後段のRO膜がどれだけ詰まりやすい水を受け取っているかを示す指標であり、RO膜メーカーは運転保証のためにSDI値の上限を規定しています。
砂ろ過の性能が不十分でSDI値が高い状態のままRO膜に原水を通すと、膜面にファウリング(汚れの付着)が発生し、透過流束の低下や膜寿命の短縮につながります。
つまり砂ろ過は、単に「濁りを取る工程」ではなく、「高価なRO膜を長く安定して使うための保険」としての役割を担っています。
まとめ:砂ろ過の役割一覧
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | 濁り・コロイド粒子の物理的除去 |
| 除去できないもの | イオン・溶存塩類・塩素・溶存有機物 |
| 構造 | 多層ろ材(アンスラサイト・砂・砂利など) |
| 運用上の課題 | 目詰まり→定期的な逆洗が必要 |
| 半導体分野での重要指標 | SDI値(RO膜保護のための指標) |
| 後続工程 | 活性炭ろ過 → RO膜 |
※ 設備・原水水質によって構成は異なります
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