活性炭ろ過とは:超純水製造における役割

活性炭ろ過とは

活性炭ろ過の役割:超純水製造

活性炭ろ過とは「活性炭の多孔質表面に不純物を吸着させることで、塩素・クロラミン・有機物を水中から除去する手法」です。砂ろ過が物理的なフィルターであるのに対し、活性炭ろ過は、吸着によって不純物を捕まえる点が根本的に異なります。

前処理の1段階目である砂ろ過が「濁り・コロイド粒子など、目に見えるサイズの粗大不純物」を担当するのに対し、2段階目の活性炭ろ過は「塩素・クロラミン・有機物など、水に溶け込んだ成分」を担当します。

この役割分担により、後段のRO膜を目詰まりだけでなく酸化劣化からも守ることができます。

砂ろ過とは:超純水製造における粗大粒子ろ過

なぜ塩素の除去が必要か

水道水や工業用水には、殺菌のために塩素(次亜塩素酸など)が添加されています。この塩素が後段のRO膜に到達すると、膜の主成分であるポリアミド素材を酸化・劣化させてしまいます。

塩素・クロラミンによるRO膜の劣化メカニズム

活性炭ろ過の主な役割は、RO膜の手前で塩素を確実に除去することです。遊離塩素だけでなく、水道水の殺菌等に使われる「クロラミン(結合塩素)」も同様の酸化力を持つため、重要な除去対象となります。

もし塩素やクロラミンの除去が不十分なままRO膜に通水すると、ポリアミドの分子鎖が切断されて微細な孔が広がり、本来阻止すべきイオンまで通過してしまう「脱塩率の低下」を引き起こします。

一度酸化・劣化してしまったRO膜は再生できません。そのため、活性炭ろ過による確実な事前除去(脱塩素)は、超純水ラインの安定稼働に不可欠な工程です。

なお、クロラミンは遊離塩素に比べて分解されにくく、活性炭による除去に長い接触時間(SV)を要する点には注意が必要です。

活性炭の除去メカニズム(吸着と化学分解)

活性炭による不純物除去・吸着のメカニズム

活性炭は内部に無数の微細な孔(細孔)を持つ多孔質構造であり、1gあたり1,000 m²以上にも及ぶ膨大な比表面積を持ちます。この広大な表面構造を利用して、水中の不純物を効率的に除去します。

なお、活性炭による除去は単一のメカニズムではなく、対象物質によって働き方が異なります。

活性炭による吸着と脱塩素の仕組み

有機物の除去は、活性炭表面への「物理吸着」によるものです。一方、塩素の除去は、活性炭表面で塩素が炭素と反応して無害化される「脱塩素反応(化学反応)」であり、厳密には吸着とは異なる仕組みで進行します。

  • 物理吸着(有機物の除去)
  • ファンデルワールス力(分子間力)によって、有機物を活性炭の微細な孔の中に捕集・固定化

  • 脱塩素反応(塩素の除去)
  • 強い酸化力を持つ遊離塩素(HClO)が活性炭(C)と接触して還元分解され、RO膜に無害な塩化物イオン(Cl⁻)へ変化する化学反応

この違いにより、有機物の除去性能は活性炭の「細孔構造や表面積」に強く依存する一方、塩素の除去性能は「活性炭と水の接触時間(SV:空間速度)」に大きく影響を受けるという、運用・設計上の重要な特性の違いが生まれます。

活性炭ろ過装置の構造・運用

半導体プラントで一般的に使われるのは、粒状活性炭(GAC:Granular Activated Carbon)をタンクに充填した固定床式の装置です。原水は活性炭層をゆっくり通過し、この間に塩素や有機物が除去されます。

活性炭ろ過も砂ろ過と同様、運転を続けると捕捉した粒子で目詰まりが進むため、定期的な逆洗(バックウォッシュ)が必要です。

ただし活性炭には、砂ろ過にはない固有の劣化モードがあります。それが「破過(はか)」と呼ばれる現象です。

活性炭の吸着サイトは有限であり、使用を続けると吸着能力が徐々に低下し、やがて塩素や有機物を除去しきれなくなる状態(破過)に達します。破過に達した活性炭は逆洗しても性能が回復しないため、一定期間ごとの活性炭自体の交換が運用上欠かせません。

砂ろ過とは:超純水製造における粗大粒子ろ過とバックウォッシュ

活性炭ろ過の注意点:微生物繁殖のリスク

純水中の不純物:微生物・バクテリア

活性炭は多孔質構造ゆえに有機物を吸着しやすい一方、その有機物を栄養源として微生物が繁殖しやすい環境でもあります。活性炭層内でバイオフィルムが形成されると、水質悪化や後段設備への微生物混入の原因になります。

そのため半導体プラントでは、定期的な逆洗に加え、活性炭層の水質(細菌数など)をモニタリングし、必要に応じて活性炭の交換頻度を見直す運用が行われます。なお、活性炭で除去しきれなかった微量の有機物(TOC)や、ここで繁殖した微生物由来の成分は、二次純水システムのUV照射(TOC分解・殺菌)とIER(イオン除去)によって最終的に取り除かれます。

半導体製造で排除すべき水中の不純物とは:微粒子・イオン・有機物(TOC)・溶存ガス・微生物

まとめ:活性炭ろ過の役割一覧

項目 内容
目的 塩素・クロラミン・有機物の除去
メカニズム 有機物:物理吸着 / 塩素:脱塩素反応(化学反応)
構造 粒状活性炭(GAC)を充填した固定床式タンク
運用上の課題 目詰まり(逆洗で対応)/ 破過(交換が必要)
半導体分野でのリスク 塩素残留によるRO膜の酸化劣化 / 微生物繁殖
後続工程 RO膜(一次純水システム)

※ 設備・原水水質・活性炭の種類によって性能は異なります

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