イオン交換樹脂(IER)とは:陽イオン・陰イオン交換樹脂

超純水の製造プロセス:前処理・一次純水システム・二次純水システム

超純水製造プロセスの例

前回の記事では紫外線(UV)照射について説明しました。UV照射によりTOC(全有機炭素)は分解されましたが、その過程で生じたCO₂やその他の微量イオンは、水中にそのまま残っています。

これらの残留イオンを最終的に取り除き、超純水の純度を仕上げるのがイオン交換樹脂(IER)です。

イオン交換樹脂(IER)とは

イオン交換樹脂の原理:カチオン交換樹脂・アニオン交換樹脂

IER(Ion Exchange Resin、イオン交換樹脂)は「水中のイオンを吸着・交換する微細な粒状の合成樹脂」です。樹脂に固定されたH⁺・OH⁻と水中の残留イオンを交換することで、金属イオンやアニオンをpptレベル(1兆分の1)まで除去します。

イオン交換樹脂は以下の2種類が存在します。

  • 陽イオン交換樹脂(カチオン交換樹脂)
  • 陽イオンを捕まえて、H+と交換する樹脂

  • 陰イオン交換樹脂(アニオン交換樹脂)
  • 陰イオンを捕まえて、OH-とを交換する樹脂

この2つの樹脂を組み合わせることで、水中のプラス・マイナス両方のイオンを取り除くことができます。より詳しい交換の原理(電気による連続的な樹脂再生の仕組みなど)は、EDI(電気式脱塩)の記事で解説しています。

EDI(電気式脱塩)とは:役割・構造・原理

UV照射によるCO₂の除去

例えば、UV照射で生じたCO₂は、水中でHCO₃⁻(重炭酸イオン)などの陰イオンに変化するため、他の陰イオンと同様にIERで除去できます。

イオン交換樹脂によるCO2除去:HCO3-の除去

このようにして、UV照射で分解された有機物由来のイオンもここで取り除かれ、比抵抗値が18.2 MΩ·cmに近づきます。

なお、比抵抗値:18.2 MΩ·cm(25℃)は、理論上の純水が示す電気抵抗率の限界値であり、超純水の純度を示す代表的な指標として広く使われる値です。

半導体製造を支える超純水:電気抵抗率(比抵抗)とは

まとめ:IER(二次純水システム)の役割一覧

項目 内容
目的 残留イオン(UV由来のCO₂含む)のpptレベルまでの除去
原理 樹脂に固定されたH⁺・OH⁻と水中イオンの交換
主な除去対象 金属イオン・アニオン・UV由来のHCO₃⁻
到達水質 比抵抗値18.2 MΩ·cm(25℃)に近づく
後続工程 UF膜(ナノ微粒子・細菌・コロイドの除去)

※ 設備・原水水質・樹脂の種類によって性能は異なります

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