NMOSFETとPMOSFETとは:CMOSの基礎となるトランジスタ
これまで、コンピューターが情報を全て「0と1」の2進数に置き換え、トランジスタのON/OFFを1/0に対応させることで、計算していることを学びました。
現代、主流のトランジスタであるMOSFETには、NMOSFETとPMOSFETの2種類があります。現代の最新プロセッサは、この「性質の異なる2つのスイッチ」を巧みに使い分けることで、驚異的な処理能力と低消費電力を両立させています。
まずは、基本となるNMOSFETとPMOSFETについて学びましょう。
NMOSFETとPMOSFET
論理回路の基本であるMOSFETは、その構造によってNMOSFET(Nチャネル型)とPMOSFET(Pチャネル型)の2種類を作り分けることができます。
現代のコンピューターでは、この「性質が真逆な2種類のスイッチ」を巧みに使い分けることで、圧倒的な低消費電力を実現しています。まずはそれぞれの特徴を見ていきましょう。
NMOSFET:電圧をかけるとONになるスイッチ
NMOSFET(N-channel MOSFET)とは、ゲートに「正の電圧」を印加したときに電流が流れるトランジスタのことです。
NMOSFETは、P型基板の中にN型の領域(ソース・ドレイン)が作られた構造をしています。ゲートに正の電圧をかけると、電子(マイナスの粒)が引き寄せられて「N型の道(反転層)」ができ、電流が流れます。
つまり、「ゲートの電圧が1(ON)のとき、スイッチも1(ON)になる」という、直感的に分かりやすい動作をします。
PMOSFET:負の電圧でONになるスイッチ
PMOSFET(P-channel MOSFET)とは、ゲートに「負(マイナス)の電圧」を印加したときに電流が流れるトランジスタのことです。
PMOSFETは、N型基板の中にP型の領域(ソース・ドレイン)が作られた構造をしています。ゲートに負の電圧をかけると、正孔(プラスの粒)が引き寄せられて「P型の道(反転層)」ができ、電流が流れる仕組みです。
なお、実際のデジタル回路では、ソース(S)を電源電圧(VDD)に接続して使用します。そのため、ゲートに0V(Low信号)を入力すると、電源電圧に対して相対的に「負の電圧」がかかった状態になり、スイッチがONになります。
つまり、NMOSとは反対に「ゲートの電圧が0(Low)のとき、スイッチが1(ON)になる」という、あべこべな動作をするのが大きな特徴です。
まとめ:NMOSとPMOSの組み合わせ=CMOS
現代の最新プロセッサでは、今回紹介したNMOSFETとPMOSFETを組み合わせた「CMOS(相補型MOS)」が基本構造になっています。
「正反対の性質」を持つ2つを組み合わせることで、0を1に変換するインバーターなど、複雑な計算や処理が極めて低い消費電力で実現できるのです。
次回は、このNMOSとPMOSがペアを組んで動く具体的な仕組み「CMOSインバーター」について詳しく学んでいきましょう。


