【半導体企業】IDM・ファブレス・ファウンドリとは?

IDM・ファブレス・ファウンドリ

IDM ファブレス ファウンドリ

半導体企業の事業形態は大きく以下の3つに分類されます。

  • ファブレス
  • 工場を持たず、半導体の規格・開発・販売を行う半導体メーカーのこと。

  • ファウンドリ
  • 製造に特化した半導体メーカー。ファブレス企業から受注し利益を上げています。

  • IDM(Integrated Device Manufacturer)
  • 自社で設計・製造・組み立て・検査・販売まで全て一貫して行う半導体メーカー。

半導体業界は「ファブレス・ファウンドリ」による水平分業体制が進んでいます。

1980年代、半導体は設計・製造・組み立てまで全て一貫して行う垂直統合モデルで製造されていました。

しかし現在は、設計・製造・組立を分業するのが一般的です。これは、半導体産業は製品開発サイクルが早く、短期間に膨大な投資が必要なためです。

垂直統合モデルでは莫大な投資に耐えられず、開発サイクルも追いつかないため、水平分業モデルが業界のスタンダードになりました。

水平分業のメリット

半導体 分業 メリット

水平分業は「ファブレスはスピード感を持った設計・開発、ファウンドリは高品質で安価な製品生産」と双方にメリットがあります。

ファブレスは、開発・設計業務に特化しているため、技術開発に集中投資が可能であり、高い設計技術を有します。しかし、半導体生産に必要な工場は数千億円規模の建設費と高度な生産技術が必要であり、よほど資金力のある会社以外は半導体製造は不可能です。

ファウンドリは製造技術に特化しているため、生産設備や技術開発への投資が行いやすく、高度な半導体製造技術を有します。しかし、ムーアの法則により製品サイクルが極めて速く、技術的難易度の高い半導体を1から設計し生産するのは非効率です。

そこで、分業を行うことでスピード感のある開発と高度な生産技術による製造を担保するのが水平分業体制です。

ファウンドリは、複数のファブレス企業から委託を受けることで高品質で安価に製品製造が可能となり、ファブレス企業は自社で生産設備を持つ必要がないことから、双方にメリットがある方式となのです。

ファブレス・ファウンドリ企業

ファブレス ファウンドリ 一覧

ファブレスの代表はQualcomm(米)、ファウンドリの代表はTSMC(台湾)、IDMの代表はSamsung(韓国)です。2021年にはSamsungがIntelの売上高を抜き去りました。

半導体市場の業界研究:市場規模・シェア・今後の見通し

ファブレス売上高ランキング

ファブレスの世界売上トップは「Qualcomm:3.25兆円(2021年)」です。

2021年のファブレス市場規模は11.4兆円です(前年比46%増)。

売上高1位はQualcommで、スマホ用SoCやIoT向けチップの売上が好業績につながっています。2位はNVIDIAで、ゲーム用グラフィックカードやデータセンター向け製品の売上が好調です。

市場全体として、HPC、インターネット、高速伝送、サーバー、自動車などの高性能製品に対する需要が高まり、ファブレス企業に巨大なビジネスチャンスを産み出しています。

ファブレスは「次世代に向けどのような半導体を設計するか?」に特化した企業群であり、高付加価値品の需要が市場の成長を後押しします。

ファウンドリ売上高ランキング

ファウンドリの世界売上トップは「TSMC:6.3兆円(2021年)」です。

2021年のファブレス市場規模は11.5兆円です。

売上トップはTSMCで、6.3兆円と2位のSamsungに2倍近くの差をつけています。Apple、Qualcomm、AMDといった名だたるファブレス企業の製造を一挙に引き受けており、技術力も他のファウンドリと比べても圧倒的と言われています。

2位はSamsungで、ファウンドリ事業は2.1兆円の売上高です。SamsungはIDMとファウンドリ双方の事業を行っている半導体企業です。

ファウンドリの多くは、大規模で安い労働力から中国と台湾にあります。

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