シリコンウェーハの種類:PW・AW・EPW・SOIウェーハの違い

シリコンウェーハの種類

シリコンウェーハ 種類

シリコンウェーハには大きく6種類あります。

  • ポリッシュドウェーハ(PW)
  • 単結晶シリコンを1mm程度にスライスし超平坦・鏡面に仕上げたウェーハ

  • アニールウェーハ(AW)
  • PWを水素・アルゴン・窒素などのガス中で熱処理し、表面を改質したウェーハ

  • エピタキシャルウェーハ(EPW)
  • PW上にSi単結晶を気相成長させ、高品質な表面を実現したウェーハ

  • SOIウェーハ(SOI)
  • 2枚のPWを貼り合わせ、間に酸化膜を介在させたウェーハ。

  • 埋込層付エピタキシャルウェーハ(JIW)
  • 顧客のデバイスに合わせ、ドーパント埋め込み層を形成した後、EP層を形成したウェーハ。

  • 再生ウェーハ(RPW)
  • モニターウェーハの表面を研磨・洗浄し再利用したウェーハ

それぞれのウェーハの特徴について解説していきます。

ポリッシュドウェーハ(PW)

ポリッシュドウェーハ

ポリッシュドウェーハ(PW)は「超高純度の単結晶シリコンインゴットをスライスし、超平坦・鏡面に仕上げたウェーハ」です。

PWは最も基本的なウェーハで、Siウェーハと言えばPWを指します。他の種類のウェーハはPWをベースに作られます。

PWを用い顧客がデバイスを作製します。フォトリソグラフィーでは数nmの厚み変化が回路不良を引き起こすため、超平坦・鏡面のSiウェーハが用いられます。

Siウェーハ製造工程

アニールウェーハ(AW)

アニールウェーハ

アニールウェーハ(AW)は「ポリッシュドウェーハを水素・アルゴン・窒素などのガス中で熱処理し、表面を改質したウェーハ」です。

シリコンウェーハには不純物酸素由来の析出物(SiO2)やCOPと呼ばれる空洞(空孔の凝集体)が存在します。

アニールにより、酸素が外方拡散することで析出物を消去することができ、表面のCOPも除去されることから、Siウェーハ表面の完全性を高めることができます。

半導体の外方拡散・内方拡散

エピタキシャルウェーハ(EPW)

エピタキシャルウェーハ

エピタキシャルウェーハ(EPW)は「ポリッシュドウェーハ上に単結晶Siを気相成長させることで、より高品質な表面を実現したウェーハ」です。

エピタキシャル炉内で、Siを含むガス(SiCl4やSiHCl3)を流しながらPWを約1200℃に加熱することで、PW表面に高品質なSi膜を気相成長させます。

生成したエピタキシャル膜は、酸素を含まずより高品質で結晶完全性の高い表面が得らることから、先端デバイスプロセスなどに使用されています。

また、Siガス原料とともにドーパントガスを流すことで抵抗率の異なる多層構造を形成することもできます。

SOIウェーハ(SOI)

SOIウェーハ

SOIウェーハ(SOI)は「2枚のPWのうち片方または両方の表面を酸化し、2枚を貼り合わせることでPW間に酸化膜層を形成したウェーハ」です。

SOIウェーハは下記の手順で作製されます。

SOI プロセス

SOI製造では基板となるPWをベースウェーハ、デバイスを作り込むPWをボンドウェーハと呼びます。

  1. ボンドウェーハに熱酸化で酸化膜層を形成
  2. ベースとボンドを接合・熱処理することで2枚のPWを貼り合わせ
  3. ボンドウェーハを所望の厚さに研磨(CMP)することでSOIウェーハが完成

2枚のウェーハは水素結合とファンデルワールス力により結合しており、簡単に剥がれることはありません。

SOIウェーハの作製には貼り合わせの他に、酸素イオンを注入したSIMOXと呼ばれる方法もあります。

埋込層付エピタキシャルウェーハ(JIW)

埋込層付エピタキシャルウェーハ

埋込層付エピタキシャルウェーハ(JIW)は「顧客のデバイス工程に合わせて、露光イオン注入熱拡散でドーパント埋込層を作製した後、EP層を形成したウェーハ」です。

MOSFETなどのデバイスでは、ドーパント埋め込み層を多数形成する必要があり、Siウェーハメーカであらかじめ一部デバイス構造を形成したものが埋込層付エピタキシャルウェーハです。

再生ウェーハ(RPM)

再生ウェーハ

再生ウェーハ(RPW)は「モニターウェーハの表面を研磨・洗浄し、再利用可能としたウェーハ」です。

モニターウェーハとは、デバイス工程での装置状態やプロセス条件検討用のテストウェーハのことを指します。

顧客のプロセス開発では大量のモニターウェーハが使用されており、ウェーハの購入費用も莫大です。

そこで、使用済みモニターウェーハを再利用可能としたものが再生ウェーハです。再生ウェーハを使用することで顧客はウェーハの購入費を抑えながら、プロセス開発を行うことが出来ます。

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