【半導体】CMPとは?平坦化の原理

CMPとは?

CMPは「研磨剤の入った薬品と砥石でウェーハの表面を磨き、平坦化する技術」です。

薬品による化学的(Chemical)研磨作用と、砥石による機械的(Mechanical)研磨作用を用いることから、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)と呼ばれています。

ウェーハをキャリアと呼ばれる部材で保持し、化学物質・砥粒を含んだスラリーを流しながらウェーハと研磨パッドを接触・回転させることで、ウェーハを平坦に磨き上げます。
⇒CMPの様子(動画)

近年の半導体デバイスは3次元化が進み形状が複雑化しています。3次元構造は「成膜とCMP」を繰り返すことで形成されるため、半導体製造においてCMPは非常に重要な工程です。

CMPの原理

CMP 原理

CMPでは化学薬品と砥粒を含むスラリーで、化学的作用と機械的作用を用いながら研磨します。

  • 化学的作用(ケミカル)
  • 化学薬品で研磨表面を変質・溶解させることで、砥粒による機械研磨をアシスト。

  • 機械的作用(メカニカル)
  • スラリーに含まれる砥粒による物理的作用で表面を研磨。

化学的作用によってウェーハ表面を変質させることで、研磨剤単体で研磨する場合に比べ、加工速度や品質を向上させることが出来ます。

CMPの例:CeO2によるSiO2研磨

CMPの原理をもう少し詳しく見ていきましょう。ここではCeO2砥粒によるSiO2の研磨を例にします。

SiO2の研磨はCeO2砥粒による化学研磨作用により、研磨レートが大きく向上することが知られています。研磨レート増大のメカニズムは以下の通りです。

  1. CeO2中のCe3+生成
  2. CeO2は通常酸素空孔を含むため、Ceの一部がCe3+として存在(電荷中性のため)。

  3. Ce3+による電子供与
  4. Ce3+からSi-O結合の反結合性軌道に電子が供与

  5. Si-O結合の弱まり
  6. 電子供与によりSi-O結合が伸長し、結合が弱まる

  7. 機械研磨による除去
  8. CeO2砥粒による機械研磨でSiO2が除去

このように、CMPではスラリー中に含まれる化学成分が基板表面と化学反応を起こすことで、機械研磨レートが向上します。

CMPを利用する工程

半導体製造工程の中で、CMPを利用するものを以下の表にまとめました。

工程内容概要図
絶縁膜トレンチ分離素子間を電気的に分離するための絶縁膜を形成シャロートレンチアイソレーション
メタル配線下絶縁膜メタル配線1層目直下の絶縁膜平坦化CMP 配線絶縁膜
メタル配線層間絶縁膜多層メタル配線層間の絶縁膜平坦化層間絶縁膜 CMP
金属タングステン埋め込み配線のため、ホール形状にW金属を埋め込んだ後平坦化タングステンプラグ
ダマシン配線Cu配線のため、Cuを製膜した後CMPで研磨・平坦化ダマシン配線 CMP

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