【BEOL】半導体の配線工程とは?工程フローと原理

配線工程とは?

配線工程(BEOL)は「ウェーハ上に形成したトランジスタなどの素子同士を、金属配線により接続する工程」です。

フォトリソグラフィなどで形成した回路や素子が作動するには、外から電気を与える必要があります。この信号や電気のやり取りを行うため、素子同士は金属配線で接続する必要があります。

配線材料:AlとCu

配線に使用される金属は大きくアルミニウム(Al)と銅(Cu)があります。

  1. アルミニウム(Al)
  2. 従来(180nmノード)までの主流。微細化の進行に伴い、配線遅延(RC)の影響が無視できず、Cu配線に置き換わった。

  3. 銅(Cu)
  4. 現在の主流。低抵抗材料であり、Alよりも配線遅延の小さな材料として使用される。

Al配線の工程フロー

アルミニウム配線は「アルミニウム成膜・レジスト塗布後の露光、不要部のエッチング(RIE)、酸化膜形成・研磨(CMP)を繰り返す」ことで形成されます。

実際の工程フローは以下の通りです。

  1. アルミニウム成膜・レジスト塗布
  2. 配線材料であるAlをPVD等で成膜した後、フォトレジストを塗布します。

  3. 露光
  4. 露光によりレジストにパターンを刻みます。残ったレジストは続くエッチング工程のマスクとなります。

  5. Al膜エッチング・レジスト除去
  6. RIEで不要なアルミニウム膜を除去します。RIE後はレジストを除去します。

  7. 酸化膜成膜
  8. Al配線を保護する役割で酸化膜を成膜します。

  9. 酸化層除去
  10. CMPにより表面の不要な酸化層を除去します。

このように、配線材料であるAl成膜・レジスト塗布後の露光と、レジストをマスクとしたエッチング、続く配線保護の酸化膜形成を繰り返すことで、層状にAlが配線されていきます。

Cu配線のメリット

現代の先端デバイスにおいてはAlではなく「Cu配線」が主流となっています。Cu配線はAl配線と比較し以下の長所があります。

Cu配線 Al 比較
  1. 抵抗率が低い
  2. CuはAlと比較し抵抗率が30%低いです。微細化に伴う配線断面積の縮小は、単位長さ当たりの抵抗値を増大させるめ、配線材料の抵抗率も小さい方が有利です。

  3. 熱伝導率が高い
  4. Cuの熱伝導率はAlよりも高いです。配線に大電流を印加した場合のジュール発熱の局所集中を抑え、配線抵抗の増加やエレクトロマイグレーションの加速を抑えることが出来ます。

  5. エレクトロマイグレーション耐性が高い
  6. 拡散係数や有効電荷などの物性値の観点から、Cuの方がエレクトロマイグレーション耐性が高く、長時間使用時の信頼性が高いです。

    (出典:電気通信大学 博士論文)

以上の理由から、現在の配線材料はCuが主流です。

Cu配線工程:ダマシン法

Al配線工程ではあらかじめ成膜したAl膜をRIEでパターニングすることで配線を形成します。

一方、Cuはエッチング生成物の蒸気圧が低く、RIEによるエッチングが困難という問題があります。そこで開発されたのがダマシン法です。

ダマシン法「絶縁膜に溝(トレンチ)や穴(ホール)を形成し、溝に金属膜を埋め込む配線方法」です。

  1. Cu成膜
  2. メッキ法でCuを成膜します。

  3. CMP
  4. CMPで不要なCuを研磨除去します。

  5. 酸化膜成膜
  6. 溝や穴を形成するための酸化膜を成膜します。

  7. 露光・エッチング
  8. マスクを用いて露光エッチングを行い、酸化膜にパターンを刻みます。

  9. Cu成膜
  10. 露光で刻まれたパターンにCuを成膜し、2層目のCu配線を行います。

ダマシン法では、酸化膜成膜・露光でのパターン形成・Cu成膜・CMPを幾度も繰り返すことで、3次元配線を形成します。

コメント

    1. semi-journal より:

      コメントありがとうございます。修正いたしました。

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