半導体の露光装置とは?装置構成と原理
露光装置の原理
露光は、ウェーハにマスクを通して紫外線を照射し、回路を焼き付ける工程です。露光を担うのが露光装置です。
露光装置は大きく分けて、光源・光学系・ウェーハステージから構成されます。
- 光源
- 光学系
- ウェーハステージ
回路を刻むためのレーザーを発生します。波長が短いほど微細な回路パターニングが可能です。現在はArF(193nm)が主流ですが、今後はEUV(13.5nm)が主流になっていきます。
回路が刻まれたマスクを通った光を、レンズで1/4~1/5に縮小しウェーハに照射します。マスクのパターン寸法は、実際のパターンよりも大きくて良いというメリットがあります。
ウェーハを動かし、レーザーの照射位置を精密に調整します。露光は複数回繰り返すため、その前の露光で形成されたパターンとの位置合わせのために行います。また、ウェーハ全面に回路を刻むためにも、ウェーハを動かす必要があります。
露光装置の種類
露光装置はその方式により「ステッパー」と「スキャナー」があります。
- ステッパー
- スキャナー
フォトマスク全面にレーザーを照射し、一度にウェーハに露光します。露光後は次のチップに移動し、再度露光を繰り返します。
フォトマスクの一部にレーザーを照射し、マスクの一部のみを露光します。レーザーの照射位置とウェーハを走査することで、フォトマスク全面にレーザーを当て、ウェーハにパターンを刻みます。 ⇒スキャナ―の露光の様子(動画)
ステッパーとスキャナーには以下の特徴があります。
ステッパー | スキャナー | |
---|---|---|
メリット | 〇安価 | 〇照射面積が広い 〇解像度が高い |
デメリット | ×照射面積がスキャナより狭い ×解像度がスキャナより低い | 〇高価 |
スキャナーは細長い照射領域を移動しながら露光するため、照射面積がステッパーよりも広い利点があります。
また、ステッパーはマスクの広い範囲に光を当てる為レンズの広い面積を利用しますが、スキャナ―はレンズの中心部のみを使用します。レンズの歪みが小さい中心部のみを利用できるため、解像度が高いという利点があります。
現在の最先端デバイスではスキャナーが露光装置の主流です。
解像度を決める要因
露光では回路のパターンを刻むため、当然解像度(分解能)は高いことが望ましいです。解像度が高いほど細かなパターン形成が可能です。分解能Rは以下の式で表されます。
R=k1×λ/NA
- R:分解能
- λ:波長
- k1:比例定数(プロセス係数)
- NA:開口数
上式から、解像度を高める(値を小さくする)ためには以下の3つの方法があります。
- k1を下げる
- 開口数NAを高める
- 波長λを短くする
k1を下げる
k1はプロセス係数と呼ばれます。レジストの性能や、マルチパターニング時の重ね合わせ誤差を改善することで解像度が向上します。
開口数NAを高める
開口数とは、レンズの分解能を表す指標です。数値が大きくなるほど分解能が向上します。
波長を短くする
光源の波長を短くすることで、分解能が向上します。現在はArF(193nm)が主流ですが、次世代の光源としてEUV(13.5nm)の導入が進んでいます。