【BEOL】半導体の配線工程とは?工程フローと原理
配線工程とは?
配線工程(BEOL)は「ウェーハ上に形成したトランジスタなどの素子同士を、金属配線により接続する工程」です。
フォトリソグラフィなどで形成した回路や素子が作動するには、外から電気を与える必要があります。この信号や電気のやり取りを行うため、素子同士は金属配線で接続する必要があります。
配線材料:AlとCu
配線に使用される金属は大きくアルミニウム(Al)と銅(Cu)があります。
- アルミニウム(Al)
- 銅(Cu)
従来(180nmノード)までの主流。微細化の進行に伴い、配線遅延(RC)の影響が無視できず、Cu配線に置き換わった。
現在の主流。低抵抗材料であり、Alよりも配線遅延の小さな材料として使用される。
Al配線の工程フロー
アルミニウム配線は「アルミニウム成膜・レジスト塗布後の露光、不要部のエッチング(RIE)、酸化膜形成・研磨(CMP)を繰り返す」ことで形成されます。
実際の工程フローは以下の通りです。
- アルミニウム成膜・レジスト塗布
- 露光
- Al膜エッチング・レジスト除去
- 酸化膜成膜
- 酸化層除去
配線材料であるAlをPVD等で成膜した後、フォトレジストを塗布します。
露光によりレジストにパターンを刻みます。残ったレジストは続くエッチング工程のマスクとなります。
RIEで不要なアルミニウム膜を除去します。RIE後はレジストを除去します。
Al配線を保護する役割で酸化膜を成膜します。
CMPにより表面の不要な酸化層を除去します。
このように、配線材料であるAl成膜・レジスト塗布後の露光と、レジストをマスクとしたエッチング、続く配線保護の酸化膜形成を繰り返すことで、層状にAlが配線されていきます。
Cu配線のメリット
現代の先端デバイスにおいてはAlではなく「Cu配線」が主流となっています。Cu配線はAl配線と比較し以下の長所があります。
- 抵抗率が低い
- 熱伝導率が高い
- エレクトロマイグレーション耐性が高い
CuはAlと比較し抵抗率が30%低いです。微細化に伴う配線断面積の縮小は、単位長さ当たりの抵抗値を増大させるめ、配線材料の抵抗率も小さい方が有利です。
Cuの熱伝導率はAlよりも高いです。配線に大電流を印加した場合のジュール発熱の局所集中を抑え、配線抵抗の増加やエレクトロマイグレーションの加速を抑えることが出来ます。
拡散係数や有効電荷などの物性値の観点から、Cuの方がエレクトロマイグレーション耐性が高く、長時間使用時の信頼性が高いです。
以上の理由から、現在の配線材料はCuが主流です。
Cu配線工程:ダマシン法
Al配線工程ではあらかじめ成膜したAl膜をRIEでパターニングすることで配線を形成します。
一方、Cuはエッチング生成物の蒸気圧が低く、RIEによるエッチングが困難という問題があります。そこで開発されたのがダマシン法です。
ダマシン法「絶縁膜に溝(トレンチ)や穴(ホール)を形成し、溝に金属膜を埋め込む配線方法」です。
- Cu成膜
- CMP
- 酸化膜成膜
- 露光・エッチング
- Cu成膜
メッキ法でCuを成膜します。
CMPで不要なCuを研磨除去します。
溝や穴を形成するための酸化膜を成膜します。
マスクを用いて露光・エッチングを行い、酸化膜にパターンを刻みます。
露光で刻まれたパターンにCuを成膜し、2層目のCu配線を行います。
ダマシン法では、酸化膜成膜・露光でのパターン形成・Cu成膜・CMPを幾度も繰り返すことで、3次元配線を形成します。
https://semi-journal.jp/wp-content/uploads/2022/04/Cu-Al-BEOL-768x304.png
Alの抵抗率が間違ってませんか?
コメントありがとうございます。修正いたしました。