【レジスト塗布】スピンコートとは?装置の原理

スピンコートとは?

スピンコーター 原理

スピンコートは、「ウェーハの中心に薬液を滴下した後、高速回転することでウェーハ上に均一に薬液を塗布する工程」です。

装置はスピンコーターと呼ばれます、高速で回転し、余分な薬液を遠心力で飛ばすため均一な塗布が可能です。半導体製造工程においては、洗浄レジスト塗布で多用されています。

  1. 薬液吐出
  2. ウェーハの中心に薬液を滴下します。

  3. 回転
  4. ウェーハ1000~5000rpmで高速回転します。遠心力で余分な薬液を飛ばしながら、ウェーハ全面に均一に広げます。レジストの場合、溶媒が乾燥していき粘度が増加することで、最終的にレジストが固定されます。

  5. 乾燥
  6. 必要であれば、熱風乾燥機や紫外線レジスト硬化装置でレジストを硬化させます。

ウェーハは裏面にある真空チャックにより吸着・固定されるため、ウェーハが吹き飛ぶことはありません。

スピンコートのメリット・デメリット

スピンコートのメリット・デメリットは以下の通りです

  • メリット
  • 数nm~数10μmの幅広い膜厚を成膜可能

    装置構成が簡便で、真空プロセスを用いないためコストが安い

  • デメリット
  • 遠心力により薬液のほとんどをロスする
    レジスト塗布の様子(動画)

装置が簡便で、迅速かつ均一に塗布できるため、レジスト塗布で標準的に採用されています。また、レジスト液の回収・再利用により、薬液ロスを少なくすることも可能です。

膜厚を決定する要因

スピンコート 膜厚 要因

フォトリソ工程ではレジストの露光でパターンを形成します。微細なパターンを刻むためには、レジストが均一に塗布されている必要があり、膜厚は非常に重要です。

スピンコーターによるフォトレジスト塗布の膜厚は、「回転数・レジストの粘性・乾燥速度」によって制御可能です。

  • 回転数
  • スピンコートの回転数を上げることで膜厚は薄くなります。遠心力は回転数の2上に比例するためです。

  • レジストの粘性
  • レジストの粘度が高いほど膜厚が厚くなります。粘性が高いほどウェーハへの広がりが抑制されるためです。

  • 液の蒸発速度
  • レジスト液の蒸発速度が速いほど、粘度が増加しやすく膜厚は厚くなります。

レジストを均一に塗布するためには

レジスト 膜厚 制御

ウェーハに均一にレジストを塗布するには、「ウェーハ温度・薬液温度・排気流量」の塗布環境制御が非常に重要です。

  • ウェーハ温度
  • ウェーハの温度が高いとレジストの乾燥が促進されるため、粘度が上昇しレジスト膜厚が増加します。

  • 薬液温度
  • 薬液温度が高い場合も、溶媒が蒸発しレジストの粘度が上昇、レジスト膜厚が増加します。

  • 排気流量
  • 排気流量が高いと、ウェーハ外周部の乾燥が促進され外周部の膜厚が増加します。

    一方、排気流量が低すぎると、遠心力によりウェーハから飛んだ薬液のミストが巻き上がり、ウェーハに再度付着してしまいます。

エッジリンス・バックリンス

スピンコーターを用いてレジストを塗布すると、表面張力でエッジのレジストが盛り上がります(エッジビード)。また、レジストが裏面にも回りこみます。

  • 外周盛り上がり
  • 続く露光工程でレジスト欠けを生じ発塵の原因となります。露光での発塵は光源を遮り、マスク通りのパターンを刻めないため重大な問題です。

  • 裏面回り込み
  • 回り込んだレジストは裏面の平坦度を低下させるため、露光時のフォーカスが合わなくなる原因です。フォーカスが合わないと微細なパターンを刻むことはできません。

従って、エッジでの盛り上がったレジスト・裏面へ回り込んだレジストは除去する必要があります。

レジスト エッジリンス

エッジ・裏面の余分なレジストを除去するのが「エッジリンス・バックリンス」です。

  • エッジリンス
  • ウェーハ外周部のレジスト盛り上がりを除去する工程です。エッジ付近のノズルから薬液を吐出し、レジストを除去します。
    ⇒エッジリンス・バックリンスの様子(動画)

  • バックリンス
  • ウェーハ裏面外周部に回り込んだレジストを除去する工程です。エッジ裏面付近のノズルから薬液を吐出し、レジストを除去します。

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