赤外散乱トモグラフィー(LST):測定原理と応用例
赤外線散乱トモグラフィーとは
赤外線散乱トモグラフィー(LST)は「半導体結晶の微小な結晶欠陥を検出する方法」です。
例えばSiウェーハ中の酸素析出物やVoid(COP)を検出するために用いられています。
LSTでは析出物やVoidなどの微小欠陥を区別することは難しいため、LSTで検出された異物をまとめてLSTD(Laser Scattering Tomography Defect)と呼びます。
測定原理
LSTでは半導体表面に赤外緯レーザー(IR)を照射し、欠陥起因の赤外散乱光を検出することで欠陥を検出します。
例えば、Siウェーハでは劈開により劈開面を露出させた状態で測定を行います。
半導体表面から集光赤外レーザを照射し、劈開面近傍の欠陥(析出物・転位・積層欠陥)を照らします。散乱光は劈開面を通過し検出器(CCD)に到達、散乱光の強度から欠陥を検出することが出来ます。劈開面を用いる理由は、散乱光の表面散乱を防ぐためです。
散乱スポットの数・大きさからサイズ・密度分布を出力することが出来ます。また、ウェーハを走査することで中心~外周までの欠陥分布をマッピングすることも可能です。
LSTの応用例
LSTが最もよく使用されるのはSiウェーハの析出物検出です。
Siウェーハ中の酸素析出物(BMD)評価
BMDはデバイスプロセス中のゲッタリング能力に影響するため、Siウェーハ中のBMD密度評価は非常に重要です。
下図は、異なる熱処理条件で処理したSiウェーハの赤外散乱トモグラフ画像です。
熱処理条件によるBMD密度変化をとらえられていることが分かります。