CMOSとは何か?特徴と動作原理
CMOSとは?
CMOSは「nMOSFETとpMOSFETを組み合わせた回路構造」です。
CMOSの回路方式は省電力で高速動作が可能という特徴を持つことから、現代の半導体デバイスの基本構造になっています。
CMOSは「Complementary Metal Oxide Semiconductor」の略で、日本語では「相補型金属酸化膜半導体」と呼ばれます。
CMOSは半導体デバイスの名前ではなく、あくまでもpMOSとnMOSを組み合わせた回路のことを指します。
CMOSの回路構造
CMOSの構造を、最も基本的な「インバーター回路」を例として説明します。
インバーター回路とは、0を入力すると1、1を入力すると0を出力する回路のことです。
回路の基本構造は以下の通りです。
- nMOSとpMOSのゲートが接続⇒入力(Vin)として使用
- nMOSとpMOSのドレインが接続⇒出力(Vout)として使用
- nMOSのソースは接地に接続
- pMOSのソースは電源(VDD)に接続
nMOSとpMOSを組み合わせたシンプルな構造ですが
- 入力:Vin=1 ⇒ 出力:Vout=0V
- 入力:Vin=0 ⇒ 出力:Vout=1
となるインバーター回路として機能します。
加えて、nMMOSとpMOSの特性を相補的に利用することで、低消費電力を達成可能です。
CMOSの動作原理
CMOSインバーターでは、入力電圧に応じnMOS・pMOSのどちらか一方が必ずOFFとなることで、低消費電力を達成しています。
簡略化のため、電源電圧を1V、接地を0Vとして動作原理を説明します。
- Vin=0Vの場合
- Vin=1Vの場合
pMOSFETのソースドレイン間に負の電圧が印加⇒pMOSFETがON
nMOSFETのゲートに電圧は印可されない⇒nMOSFETがOFF
VoutはpMOSを通って電源と接続⇒1Vが出力
nMOSFETのソースドレイン間に正の電圧が印加⇒nMOSFETがON
pMOSFETのゲートには電圧は印可されない⇒pMOSFETがOFF
VoutはnMOSを通ってアースと接続⇒0Vが出力
CMOSインバーター回路では常にnMOSFETまたはpMOSFETがOFF状態のため、電源電圧VDDからアースが接続されることはありません。
1/0の状態維持に電力を必要としないため、CMOSは低消費電力です。
CMOSの特徴
消費電力が小さい
CMOSではスイッチング時しか電流が流れないため、低消費電力です。
トランジスタは非常に小さな素子ですが、LSI(大規模集積回路)の中には1000万個以上もトランジスタが集積されたものもあります。
トランジスタが増えると消費電力が大きくなるだけでなく、発熱も大きくなります。発熱は半導体デバイスにおいて誤作動(熱暴走)の原因になるため問題です。低消費電力なCMOSはLSIに適した回路構造です。
微細化が可能
MOSFETの動作速度および集積度は「スケーリング則」に従ってMOSFETを微細化すると向上します。
CMOSを構成するMOSFETのサイズを1/kにすると、動作速度はk倍、単位面積当たりのMOSFET数はk2になります。
微細化を進めることでCMOSの動作速度は高速化し、集積度も向上するのです。
CMOSの実用例
インバーター
コンピュータは1と0の演算を行うことでデータを処理しています。論理回路には様々なものがありますが、最も基本であるNOTゲート(インバーター)にはCMOS回路が使用されています。
CMOSはパソコンのCPU等、LSIに必ず使われています。
イメージセンサー
CMOSはカメラの目であるイメージセンサーに使用されています。消費電力が小さく高速動作が可能であることから、スマホやデジカメなどに搭載されています。
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