半導体の材料:シリコンから化合物まで
半導体の材料とは?
半導体の材料には「単元素半導体」と「化合物半導体」の2種類があります。
- 単元素半導体
- 多元素半導体
単一の元素で構成される半導体
2つ以上の元素で構成される半導体
単元素半導体の代表は「シリコン(Si)」です。安価なため、パソコンのCPUやメモリなど、世の中の半導体の多くに使用されています。
化合物半導体の代表は「炭化ケイ素(SiC)」「窒化ガリウム(GaN)」「ヒ化ガリウム(GaAs)」です。
電子移動度がシリコンよりも高く、デバイスの高速動作が可能です。一方、材料が希少で、大口径の結晶作製が難しいことから高価です。
シリコンが使われる理由
半導体に最も多く使用されている材料はシリコン(Si)です。その理由は大きく4つあります。
- 安価
- 抵抗率制御が可能
- 高純度化が可能
- 酸化膜が容易に得られる
➀安価
地球の表層部に存在する元素の中で2番目の多いがケイ素(=シリコン)です。Siは石や砂などの主成分であり、安価です。
大口径の結晶を作製可能な点も安価な理由です。Siは直径300mmの巨大な結晶を得ることが可能であり、一度にたくさんの半導体チップを効率よく作製可能なため安価です(シリコンウェーハとは?)。
➁抵抗率制御が可能
純粋なシリコンは真性半導体で、抵抗率が高く(103Ωcm)絶縁体に近い物質ですが、わずかな不純物を添加することで電気抵抗率が低下し導体に変化します。
Siにホウ素(B)をごく少量加えると抵抗率が劇的に下がり、p型半導体として電気が流れやすくなります。リン(P)を少量加えても抵抗率が劇的に下がり、n型半導体になります。
添加する元素の種類と量で、抵抗率・導電型(n型,p型)を制御することが出来る点でシリコンは優位です。
➂高純度化が可能
Si単結晶は、多結晶結晶Siを原料にして作られており、多結晶Siはシーメンス法と呼ばれる方法で製造されています。シーメンス法で得られるSiの純度は「99.999999999%以上(11N)」と超高純度です。
半導体は不純物の有無により電気抵抗率が大きく変化することから、結晶・原料の純度は非常に重要です。
抵抗率制御に重要な「超高純度な原料が得られる」点でSiは半導体として有利です。
➃酸化膜が容易に得られる
半導体デバイスには必ず「絶縁膜」が必要です。例えばMOSFETではゲート電極とSi基板の間には、絶縁の為の酸化膜が形成されます(ゲートに電子が流れるのを防ぐため)。
SiはO2存在下で加熱するだけでSiO2酸化膜が生成します。SiO2は絶縁性が高く、欠陥も少ない、半導体デバイスにとって極めて信頼性の高い絶縁膜です。
以上の理由から、Siは非常にバランスの取れた、優秀な半導体材料として重宝されています。
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